メラノーマ(口腔腫瘍) 顎骨切除
2025.03.30


こんにちは。獣医師の永井です。
今回は、悪性黒色腫(メラノーマ)についてです。
メラノーマは口の中や眼、皮膚、爪床などに発生しますが、口の中(歯肉や頬粘膜、口蓋)が最も多いとされています。
口腔メラノーマは悪性度が高いことが多く、急速に成長し、顎の骨に浸潤したり、リンパ節、肺に転移することが知られています。
治療法は、外科的治療、放射線治療、化学療法、免疫療法があり、転移の有無や症例の一般状態、費用などを考慮して、単独もしくは組み合わせて治療を行います。
今回治療させていただいたワンちゃんは、口の奥に出来物が見つかったとのことで来院され、頬粘膜〜下顎の歯肉腫瘤を生検したところ、メラノーマと診断されました。
腫瘍の増殖スピードが速く、日に日に大きくなっていき、このままでは食べられなくなる可能性がありました。



16歳という年齢もあり、治療方針には悩まれたご様子でしたが、手術をすれば今後も安心して食べられる可能性があることにかけて、後日手術を行うことになりました。
手術は、腫瘍に片側下顎骨の大部分をつけて切除しました。また、下顎リンパ節、内側咽頭後リンパ節も切除しました。病理検査では、腫瘍は取り切れており、リンパ節転移もなしとの結果でした。


↑手術1ヶ月後の顔写真です。
術後に手術部位のトラブルがあり、包帯を巻いての生活がしばらく続きましたが、元のようにご飯を食べてくれ、元気にしてくれています。
転移に対する警戒は必要ですが、このまま元気にご飯を食べてくれることを願っています。