副腎腫瘍摘出
2024.05.16
こんにちは、獣医師の永井です。
今回は副腎腫瘍についてです。
副腎は、腎臓の前にありホルモンを出す働きがある一対の臓器です。
通常は、ステロイドやアドレナリンなどのホルモンの量を必要な分だけ調節して、放出しています。副腎が腫瘍化すると、ステロイドホルモンやアドレナリンを過剰に放出することになり、様々な症状が出てきます。
・ステロイドホルモンが過剰に分泌される腫瘍の場合;多飲多尿、多食、呼吸が速い、脱毛、腹囲膨満など
・アドレナリンを過剰に分泌する腫瘍の場合;動悸、胸痛、頻呼吸、発作様症状など
治療させていただいたワンちゃん①
発作を主訴に来院され、スクリーニング検査で、高血圧、副腎腫瘍、ステロイドの過剰分泌が見つかりました。さらに、CT検査で脳出血(青丸)が見つかったため、発作の原因は、副腎腫瘍(橙矢印)に関連した脳出血と診断しました。
ワンちゃん②
数年前より副腎腫大とステロイドの過剰分泌が指摘されており、副腎が次第に大きくなってきたため、手術希望で来院されました。(副腎腫瘍:橙矢印)
副腎腫瘍は、大動脈や後大静脈、腎臓の血管と近く、出血リスクがあるため、やや難しい手術と言われています。腫瘍によっては、大きな血管の中に腫瘍が伸びている場合があり、その場合は手技が複雑になります。
今回の2症例は、血管の中に入っておらず、ツルッと取り切ることができました。
術後2日目くらいまで少し痛そうにしていましたが、4日目に元気に帰って行きました。
手術中の麻酔管理や出血のリスクから、手術が敬遠されがちな腫瘍ですが、周術期を乗り切ればほとんどのケースで長期的な予後が期待できます。
副腎腫瘍でお困りの場合は、是非一度ご相談ください。