紐状異物、腸穿孔
2024.01.14
こんにちは。獣医師の永井です。
今回は、紐状異物についてです。異物を飲み込んでしまったという主訴は日常の診察でよく遭遇します。多くは若齢のワンちゃんで、飼い主さんの目の前で飲みこむことが多いです。猫ちゃんはおもちゃの紐や、パーカーの紐、裁縫の糸などで1人遊びをしているうちに飲み込んでしまうため、飼い主さんは飲み込んでいることに気づかないことがあります。飲み込んだ紐の一部は舌や胃の出口に引っかかり、残りは腸の動きによってどんどん進むため、腸が手繰られていき、腸閉塞を起こしてしまいます。紐が細ければ細いほど腸に食い込み、腸穿孔などを起こす場合もあります。
今回治療させていただいた猫ちゃんは、数日前から頻回嘔吐しており、ぐったりしているとの主訴で来院されました。レントゲン検査では、腸が手繰られた所見があり、お腹に漏れたガスも確認されました。
CT検査でも同様の所見があり、胃の出口(青丸)から大腸まで手繰られていました。(オレンジ四角)
開腹すると、32箇所の腸穿孔、血色の悪い腸、腹膜炎があり、一瞬ひるみましたが、無事に手術を終えることができました。翌日からいつも通りに猫パンチをお見舞いしてくれて、元気になったんだなと一安心しました。
その後は遅れて敗血症、感染が原因で皮膚が脱落したりと色々ありましたが、飼い主さんの協力もあり二人三脚で乗り越えてくれました。
これからも元気でいてね!