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肛門嚢腺癌について

こんにちは、獣医師の永井です。
肛門嚢(肛門腺)は、肛門の4時と8時の位置にある器官で、臭気の強い分泌液を排泄し、ワンちゃん同士がお互いを認識したり、縄張りを主張するために使われています。トリミングや病院などで定期的にケアすることも多いため、ワンちゃんの飼い主様には身近なワードではないでしょうか。

肛門嚢の病気には、肛門嚢炎、肛門嚢破裂、肛門嚢の腫瘍があります。
今回は代表的な肛門嚢の腫瘍、「肛門嚢腺癌」についてです。

肛門嚢腺癌は、肛門嚢の分泌腺細胞が癌化したものです。通常は片側性ですが、両側性に発生する場合もあります。症状は、無症状から排便困難まで様々で、腫瘍随伴症候群である高カルシウム血症からこの腫瘍が見つかる場合もあります。

腫瘍発見時の転移所見(リンパ節、肝臓、脾臓、肺)は、比較的多く認められます。
治療は、手術、放射線治療、化学療法をステージに応じて組み合わせて行います。

今回のワンちゃんは、グルーミングを目的に来院され、肛門腺絞りの時にたまたま腫瘍があることに気づけました。

Stage 3a { 原発巣:2cm、腰下リンパ節転移あり:2.1cm }

 ←転移したリンパ節

 

本症例は、右肛門腺の外科的切除と術後放射腺治療を1クール(6回)行いました。術後2年以上経過していますが再発や転移は認めず、元気に過ごしています。

肛門嚢の腫瘍は転移率の高い腫瘍が多いため、早期発見が重要です。家で肛門腺絞りをしていて肛門腺が出ないなど気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

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