リハビリブログ Part.4 『股関節及び肩関節の術後のリハビリ』
2023.11.20
こんにちは。動物看護師の矢倉です。
今回は股関節及び肩関節の術後のリハビリについてご紹介します。
トイプードルの女の子、マリンちゃんです。
2021年8月26日に当院を受診、右股関節形成不全と診断され、2021年11月14日に人工股関節全置換術と呼ばれる、人工関節を入れる手術を実施しました。
術後は人工関節が外れないようになるべく安静が必要なため、通常よりも長い期間の入院が必要です。退院後も激しい運動は控え、経過は良好であったため当院での継続的なリハビリは行わず、治療は終了となりました。
さらに、2023年1月20日に左前肢のびっこがあり当院を受診、2023年2月10日に左肩関節不安定症に対し安定化の手術を実施しました。
肩関節の術後は関節の安定が確認できるまで積極的なリハビリは行わず、レーザー療法のみで経過を見ていきました。手術から4ヶ月が経過した頃から、徐々に患肢へ負荷をかけるリハビリを開始しました。
今回、マリンちゃんは肩関節のリハビリ中に以前手術した右股関節の可動域に制限があったため、肩関節リハビリ終了後も継続的に通っていただきました。
水中療法
水中でのリハビリ1回目の様子です。初めは水へ慣れさせるため、短い時間でゆっくり歩かせます。水位を肩の高さにし、肩関節・股関節可動域の拡大を目的に行いました。
水中療法開始から3ヶ月半後の様子です。徐々に時間やスピードを上げていきました。前へ進みすぎて歩幅が狭くならないように前にピーナッツボールを置いています。
腕立て伏せ
肩関節周囲の筋肉強化を目的に行いました。初めのうちは、ショルダーブレース と呼ばれる肩のサポーターをつけた状態での生活が続きます。
より前肢に負荷をかけるために後肢をピーナッツボールに乗せ高くし、前肢は不安定になるようにバランスディスクの上で行っています。以前に股関節の手術を行っているため、必要以上に股関節が伸びないように支えています。
キャバレッティ
ポールを上手にまたいだりくぐったりできますが、股関節を伸ばす際に制限がありました。より楽な方法でポールを越えようとするので、「うさぎ跳び」と呼ばれる後肢を揃えて飛び越える様子が見られました。そのため、片足ずつしっかり意識してゆっくりまたげるように誘導しています。
約3ヶ月後の様子です。ポールを高くしても片足ずつまたげるようになりました。
ドーナツボール+バランスディスク
股関節の可動域拡大を目的に行っています。より不安定なバランスディスク上でも、しっかり股関節を後ろへ伸ばし起立状態を維持できています。
最後に
マリンちゃんは自宅でも問題なく生活できるようになったため、2023年9月29日にリハビリを終了しました。
当院では、以前行った手術の経過なども考慮しながら様々なリハビリを行っています。
リハビリについて、質問等ありましたらご連絡ください。
湘南かまくら動物整形外科センター
TEL: 0467-73-8158